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1.「AI」という言葉が生まれるまで:知能の概念の萌芽

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  • AIの歴史

人類は、古くから知能を持つ存在、特に人間のような思考や感情を持つ機械の創造を夢見てきました。この壮大な夢は、AIの概念が生まれるずっと前から、哲学や神話の中に息づいています。

古代ギリシャでは、ヘーパイストスが自律的に動く機械を作ったという神話や、アリストテレスが論理学を通じて推論の法則を体系化したことなどが、後の知能研究の萌芽と見なせます。中世には、イスラム世界の学者たちが自動機械や天文計器を開発し、その技術はヨーロッパにも伝わりました。ルネサンス期には、レオナルド・ダ・ヴィンチが機械人形の設計図を残し、18世紀にはジャック・ド・ヴォーカンソンが精巧な自動人形を製作するなど、機械による人間模倣への関心が高まります。

17世紀には、ルネ・デカルトが心身二元論を唱え、人間と機械の区別を明確にしようとしました。しかし、ゴットフリート・ライプニッツは、論理的な推論を機械的に行う「普遍的記号言語」の可能性を探るなど、後の計算機科学に通じるアイデアを提唱しています。

19世紀に入ると、チャールズ・バベッジが世界初のプログラマブルな計算機である「解析機関」を構想し、エイダ・ラブレスがそのためのアルゴリズムを考案しました。彼女は、機械が単なる計算以上のことができる可能性、つまり**「知能」**を持ちうる可能性を示唆したとされています。

そして20世紀中盤、神経科学、数学、論理学といった様々な分野の知見が融合し始めます。特に、サイバネティクスという学際的分野が提唱され、フィードバック制御や情報理論といった概念が、生物と機械の共通の原理として注目されました。ノーバート・ウィーナーの『サイバネティクス』は、機械が自己制御し、環境に適応する能力を持つ可能性を示し、後のAI研究に大きな影響を与えます。

このように、「AI」という言葉が誕生する以前から、人類は知能の本質を探求し、機械に知能を宿らせる夢を追い続けてきました。これらの先駆的な試みと哲学的探求が、1956年のダートマス会議で「人工知能」という分野が正式に誕生する土壌を育んだのです。

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