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教師あり学習と教師なし学習:AIの学び方

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機械学習は、AIがデータから学習し、予測や意思決定を行うための重要な技術です。その学習方法には主に「教師あり学習(Supervised Learning)」と「教師なし学習(Unsupervised Learning)」の2つがあります。これらは、学習に用いるデータの種類や学習の目的が大きく異なります。

教師あり学習は、正解となるラベル(教師信号)が付与されたデータを用いて学習を行います。例えば、犬の画像には「犬」、猫の画像には「猫」というラベルが付いたデータセットを使って学習させることで、AIは画像とラベルの関連性を学習し、新しい画像が犬か猫かを識別できるようになります。

教師あり学習の主な目的は、入力データから出力データを予測するモデルを構築することです。具体的には、以下のようなタスクに応用されます。

  • 分類(Classification): 入力データを事前に定義されたいくつかのカテゴリのいずれかに分類するタスクです。例えば、メールをスパムメールと非スパムメールに分類する、顧客を購買意欲の高いグループと低いグループに分類するなど。
  • 回帰(Regression): 入力データから連続的な数値を予測するタスクです。例えば、過去の気温データから明日の気温を予測する、不動産の様々な特徴量から価格を予測するなど。

教師あり学習では、学習データとそれに対応する正解ラベルが不可欠です。学習の際には、モデルの予測と実際のラベルとの誤差を計算し、その誤差が小さくなるようにモデルのパラメータを調整していきます。代表的なアルゴリズムとしては、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、サポートベクターマシン(SVM)、ニューラルネットワークなどがあります。

一方、教師なし学習は、正解ラベルが付与されていないデータを用いて学習を行います。この場合、AIはデータの中に潜む構造やパターンを自律的に発見することを目的とします。

教師なし学習の主な応用分野としては、以下のようなものがあります。

  • クラスタリング(Clustering): 類似した特徴を持つデータをグループにまとめるタスクです。例えば、顧客の購買履歴データから、似たような購買行動をする顧客グループを見つけ出す、Webサイトのアクセスログからアクセス傾向の似たページをまとめるなど。
  • 次元削減(Dimensionality Reduction): データの持つ情報をできるだけ保持したまま、データの次元(特徴量の数)を減らすタスクです。高次元のデータを可視化したり、計算コストを削減したりする目的で行われます。
  • 異常検知(Anomaly Detection): 通常とは異なるデータやパターンを検出するタスクです。例えば、製造ラインのセンサーデータから異常な動きを検知する、クレジットカードの利用履歴から不正利用を検知するなど。
  • 関連性分析(Association Rule Learning): データ間に存在する興味深い関連性やパターンを見つけ出すタスクです。例えば、「ある商品Aを購入した顧客は、商品Bも一緒に購入する傾向がある」といったルールを発見するなど。

教師なし学習では、正解ラベルがないため、モデルの学習はデータの内在的な構造に基づいて行われます。代表的なアルゴリズムとしては、k-平均法(k-means)、主成分分析(PCA)、自己符号化器(Autoencoder)、連想分析(Association Rule Mining)などがあります。

教師あり学習と教師なし学習は、それぞれ異なる種類のデータと目的に適した学習方法です。現実のAIアプリケーションでは、これらの学習方法を単独で用いるだけでなく、組み合わせて利用することも多くあります。例えば、教師なし学習でデータの構造を把握した後、教師あり学習で予測モデルを構築するといったアプローチが取られることがあります。AIの学び方は多種多様であり、解決したい問題に応じて最適な方法を選択することが重要です。

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