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【AIの歴史16】生成AIの登場:GANと拡散モデルが拓く創造性のフロンティア

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2020年代に入り、AI研究の最前線で爆発的な注目を集めているのが、「生成AI(Generative AI)」です。生成AIとは、既存のデータから学習し、新たな、そしてオリジナリティのあるコンテンツ(画像、文章、音声、動画など)を生成する能力を持つAIモデルを指します。これは、これまでのAIが「認識」や「予測」といったタスクに重点を置いてきたのに対し、AIが「創造」の領域に足を踏み入れたことを意味します。

生成AIの発展には、特に以下の二つの画期的な技術が貢献しました。

  1. 敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks, GANs): イアン・グッドフェローらが2014年に発表したGANは、二つのニューラルネットワークが「敵対的」に競い合うことで学習を進めるユニークなフレームワークです。

    • 生成器(Generator): 偽のデータ(例えば、存在しない人物の顔画像)を生成しようとします。
    • 識別器(Discriminator): 生成されたデータが本物か偽物かを見分けようとします。 生成器は識別器をだますように、識別器は生成器が作った偽物を見破るように学習を繰り返します。この「いたちごっこ」を通じて、生成器は非常にリアルで高品質なデータを生成できるようになります。GANは、リアルな人物の顔画像生成、画風変換、超解像度化など、多岐にわたる画像生成タスクで素晴らしい成果を上げました。
  2. 拡散モデル(Diffusion Models): 2020年頃から急速に注目を集めた技術で、DALL-E 2、Midjourney、Stable Diffusionといった現在の画像生成AIの多くがこのモデルを基盤としています。拡散モデルは、ノイズを加えられた画像から、段階的にノイズを除去して元の画像を復元するプロセスを学習します。学習後、ランダムなノイズからスタートし、この逆プロセスを適用することで、全く新しい画像を生成することができます。GANに比べて、生成の安定性が高く、多様な画像を生成できる点が特徴です。

これらの生成AIは、テキストの指示(プロンプト)に基づいて画像を生成するText-to-Imageモデルとして、驚異的な能力を示しました。例えば、「宇宙飛行士が馬に乗って月面を歩いている絵」のような、これまで人間が描くしかなかったような情景も、数秒で生成できるようになりました。

生成AIの応用範囲は無限大です。

  • 芸術とデザイン: 芸術家が新しい作品を生み出したり、デザイナーがアイデアを視覚化するツールとして。
  • コンテンツ制作: ブログ記事、広告コピー、動画のスクリプトなど、様々なテキストコンテンツの生成。
  • 製品開発: 新しい製品のデザイン案や、シミュレーションデータの生成。
  • エンターテイメント: ゲームのキャラクターや背景、映画の特殊効果などの生成。

もちろん、倫理的な課題や著作権の問題、フェイクニュースの拡散といった懸念も存在しますが、生成AIはAIが単なる計算や分析を超え、人間が持つ「創造性」の領域に踏み込んだ、まさにフロンティアを拓く技術として、今後の社会に大きな影響を与えていくことは間違いありません。

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