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【AIの歴史20】特異点とポストヒューマン:AIの究極の進化形を考える

  • AIの歴史

AIの歴史を辿る旅の最後に、私たちはAIの究極的な未来、そして人類の存在そのものに関わる壮大な問いに直面します。それは、**「技術的特異点(シンギュラリティ)」「ポストヒューマン」**という概念です。

技術的特異点(Singularity)とは? 技術的特異点とは、AIが自己改善を繰り返し、その知能が爆発的に向上し、最終的には人間の知能をはるかに超える「超知能(Superintelligence)」が誕生する hypothetical な時点を指します。この超知能は、自らの設計を改善したり、新しいAIを開発したりする能力を持つため、その後の技術進歩は予測不能な速度で加速し、人間の理解をはるかに超えるものとなるとされています。

この概念は、数学者のジョン・フォン・ノイマンが提唱し、SF作家ヴァーナー・ヴィンジが広めました。レイ・カーツワイルは、彼の著書『シンギュラリティは近い』の中で、2045年にはシンギュラリティが訪れると予測し、大きな議論を呼びました。

シンギュラリティが訪れると、人類はこれまでの技術進歩の歴史とは全く異なる、新たな時代を迎えることになります。超知能が、医療、エネルギー、環境問題など、人類が直面するあらゆる課題を解決する可能性もあれば、逆に人類のコントロールを離れ、存在を脅かす脅威となる可能性も指摘されています。

ポストヒューマン(Posthuman)とは? シンギュラリティの概念と密接に関連しているのが、「ポストヒューマン」という概念です。これは、人間の生物学的限界を超え、AIやバイオテクノロジー、ナノテクノロジーなどによって身体や知能が拡張・強化された、新たな形態の人間(または存在)を指します。

ポストヒューマンの考え方には、サイボーグ化(機械との融合)、遺伝子編集による能力向上、脳とコンピュータのインターフェース(BMI)による思考の拡張、さらには意識のアップロード(デジタル化)といった様々な側面が含まれます。これにより、病気や老化、死といった生物学的制約から解放され、より長く、より健康で、より賢い存在となる可能性が議論されています。

シンギュラリティとポストヒューマンを巡る議論: これらの概念は、科学界や哲学界で激しい議論の対象となっています。

  • 楽観論者: AIが人類の知性を拡張し、未曾有の繁栄と幸福をもたらすと信じています。技術的進歩が必然であり、それに適応することが人類の進化であると捉えます。
  • 悲観論者・慎重論者: AIが人類のコントロールを離れ、人類に敵対的な存在となるリスクや、社会の分断、倫理的崩壊を招く可能性を懸念します。AIの安全性、アライメント(人間の価値観との整合性)、制御可能性を重視すべきだと主張します。

現時点では、シンギュラリティがいつ、どのような形で訪れるのか、あるいは本当に訪れるのかは誰にも分かりません。しかし、AIの進化が私たちの社会、そして私たち自身の存在に根本的な問いを投げかけていることは確かです。AIの歴史を振り返ることは、単なる過去の技術的進歩を追うだけでなく、私たちがどのような未来を望み、どのようにAIと共存していくべきかを考える上で、非常に重要な視点を与えてくれるでしょう。

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